一歩先の教養とクリティカルシンキングを身につけるために―質問上手になれ。

ほんとうは、試験というものは回答者の能力ではなく、質問者の能力をはかっているものである。そのことにどれだけの人が気づいているのだろうか。

犀川創平ー森博嗣

 

 

もう、まさしく。の一言に尽きる。

 

リベラルアーツカレッジでは日常風景である、ディスカッションベースのクラスでは、教授がこんな質問をクラスの最初に投げかけることが多い。「さあ、何か質問はあるかい?」

そこで出る質問はだいたい筆者の思惑の核心をついたものが多い。中途半端な質問をするとすぐにクラス中に理解していないことがばれる。さらに、論文から派生した質問ができる生徒はごく少数。そういう人たちは回答上手でもあるから、クラスのディスカッションをいつもリードするし、彼らのペーパーを読んでみると実に細かい考察がなされているものが多く、テストの点数も高い。

 

ということで、質問上手になろう。とは言っても、いきなり上手にはなれない。逆に言えば、努力すれば誰でも質問上手になれる。少しだけ文章を読むときに意識すべき質問は以下の3つ。

1)筆者が書くきっかけになったであろう質問

2)筆者が書く前にリスト化したであろう質問

3)筆者が書きながら思いついたであろう質問

応用編として、

4)自分が読みながら気になったことをメモして後で調べる。これはCognitive Map(脳内マップ)をつくるのに役立つ。

 

わたしはいつも何かを記憶するときは、だいたい頭の中にKJ法のカテゴリーマップ、タイムライン、関係図の3つを作成する。テスト対策をするときはそれらに加えて、情報に触れる機会を増やすことと答え/情報から予測される質問を自分で考える。そうすると、今まで見えなかった新しい線が見えてきたりする。そして新しい質問がうまれる。じゃあこの面から見てみよう、とクリティカルに物事を考えられるようになる。一歩踏み出した教養を身につけられる。

それらをつくるのに必要なのはやっぱり基本の情報。その情報をちゃんと理解するために必要だとわたしが思っているのが最初の3つの質問を常に考えながら文章を読むということ。

 

中高を通してやたらとプレゼンさせられペーパーを書かされた。中には1時間自分のトピックについて話し続けるというのもあった。そういうときに大事なプレゼンのスキルについてはまたいつかの機会に話すことにして、そういった授業のなかでテーマを決める際に先生に言われ続けたことは、「Why & Effectを考えなさい」。例えば歴史なら、なぜその出来事が起きたのか、なぜ重要なのか、どういう影響を与えたのか、を考える、といった具合に。

 

文章は筆者のプレゼンテーションだ。彼らだって書くときに必ずそのWhy&Effectを考えていたはず。だから彼らの脳内に潜入しよう。潜入するために質問上手になろう。このスキルを身につけるだけで、ディスカッションもプレゼンもペーパーもテストも、出来が随分違ってくる。ということで、皆さん今日から始めてみませんか。

 

 

*補足:楽しく読書するときはこんなややこしいこと考えないで物語の世界にどっぷりつかりましょう。