2019年2月の読書

こんにちは!

 

気づいたら3月も中旬ですね…早い。遅れてやってきた2月の読書記録!

 

 

これだけ数読めば引っかかる作品もそうじゃない作品もあるんだけど、2月は飛び抜けて『暗幕のゲルニカ』が最高だった!

ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。MoMAのキュレーター八神瑤子はピカソの名画を巡る陰謀に巻き込まれていく。故国スペイン内戦下に創造した衝撃作に、世紀の画家は何を託したか。ピカソの恋人で写真家のドラ・マールが生きた過去と、瑤子が生きる現代との交錯の中で辿り着く一つの真実。怒濤のアートサスペンス! 

アートサスペンスって何?と思いながら読み始め、これアートサスペンスなの?という疑問を持って読み終わったけどこれは作品のクオリティとは関係ない。

そう、小説なのか歴史書なのか学術書なのか、とても曖昧なラインをふわふわと行ったり来たりしているような作品だった。事実、巻末に収録されている参考文献は目を疑う量で、作者の歴史小説へ取り組む覚悟が見えるようだった。でもこれ歴史小説というのも少し違う。

ゲルニカが制作された1937年。そしてニューヨークでテロがあった2001年。その2つの時代を行ったり来たりしながら、キーパーソンであるドラとヨーコがゲルニカというひとつの作品、そしてそこに込められた願いに命を燃やす。

たった一枚の絵が世界を揺るがし、人々に命を差し出させ、そしてまた彼らを救う様は、到底理解しがたいことでもある一方で、人類の果てなき平和への追求を象徴しているよう。

是非多くの人に読んでほしい。

 

 

多和田葉子さんの『献灯使』は、1月初めに読んだThe Emissaryの翻訳元。

日本語のほうがより切り貼りされていて、ぷつぷつ切れていて、不安定。ずっと船のなかに揺られているような、世界がぐにゃぐにゃしているような、そんな錯覚を覚える文章。

巻末には短編もたくさん収録されていてどの作品も興味深かったし、合間合間の挿絵がとっても素敵だった。

多和田さん作品は興味深い。その得体の知れないものに恐る恐る近づき、手にとってみて、怖々とじっくり観察してみて、それでも気を抜くとぐるぐる回る渦のなかに引き込まれていく。

 

伊坂幸太郎さんはとっても賢い人なんだろうなぁと。構成が緻密でこれ以上なく意図的で演出上手。もっと読みたい。

 

あとは精力的に青崎有吾さんに貢ぎました!

なんとなしに手にとった『図書館の殺人』からここまではまるとは…。ひさしぶりにおもしろいミステリ作家に出会った。

 

 

というわけで2019年2月の読書記録でした!

みなさんのおすすめもぜひぜひ教えてください。

 

 

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